ヒラリー・クリントン と アイリス・チャン

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アイリス・チャン(中国系アメリカ人女性)は1997年11月に『ザ・レイプ・オブ・南京』を出版し、一躍有名人になった。 この本は反日宣伝の為に「南京大虐殺」についてアイリス・チャンが書いた俗悪本である。 この本には90ヶ所に及ぶ誤りがあり、偽写真が数多く載せられている。 ところが、彼女はこの本の修正を認めようとしない。 ヒラリー・クリントンはアイリス・チャンを熱心に支援し、且つ、『ザ・レイプ・オブ・南京』という本を支持している。 ヒラリー・クリントンはアイリス・チャンとホワイトハウスで会談もした。 アメリカの民主党は伝統的に中国との関係を大切にするが、これは政権の気質であるだけに、根が深い。 もし将来、ヒラリー・クリントンが大統領になったら、あらゆる意味で日中関係は厳しいものになっていく可能性が高い。

アイリス・チャンはアメリカのニュース番組に次から次へとコメンテーターとして呼ばれていた。 ある番組で司会者が彼女に「それでは、南京での虐殺の被害者は広島の被害者よりも圧倒的に多いのですね」と質問すると、アイリス・チャンは自信に満ちた声で「イエス」と答えていた。 その答えを聞いて、司会者は満足そうにうなずいていた。 自分の書いた本が多くのアメリカ人に支持されて調子に乗ったアイリス・チャンは2003年に新作『アメリカにおける中国人』を出版した。 しかし、この本は前作とは打って変わって、アメリカ国中で大ブーイングを浴びた。 この本は初期の中国移民の迫害された歴史を物語風に綴り、アメリカの白人を批判する内容だったため、「アイリス・チャンの文章は歴史的証拠の裏付けを欠く」と、アメリカの知識人から酷評された。

中国問題に関して多くの本を出している宮崎正弘氏(拓殖大学日本文化研究所の客員教授)はこのアイリス・チャンの新著について次のように述べている。「中国と米国が時折、不思議なほどの黙示録的呼吸を合わせて一種の政治陰謀をたくらむ。 歴史的結節点とでも言えるときに、そういう奇妙な暗合が見られる。 米国があまり豊かではない知恵を絞って発明した事後法が第二次大戦後に東京裁判なる芝居で主役を演じ、大東亜戦争を一方的に日本の悪だと裁いた。 論理矛盾をもろともせず、しかも数多くのでっち上げ証言、フレームアップにより日本の印象を悪くすることに躍起だった。 広島と長崎への原爆投下は『終戦を早めるためだった』との口実で正当化された。 所謂“南京大虐殺”は何一つ科学的証拠もないままに教科書にまで掲載されるようになった。 国民党の謀略でも都合のいい政治キャンペーンなら共産党は梃子(てこ)に利用する。「南京大虐殺」という虚構を本物とし、歴史を改竄してでも自らの正当性を吹聴し、日本人をマインドコントロールしておく必要があった。 中国(と言っても当時の国連代表権は蒋介石)と米国はここで“野合”したのだ。 数年前から世界の英語マーケットでアイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』なる政治謀略本が書棚を席巻し、しかも英国の老舗文庫ペンギンブックスにまで入ってロングセラーを続ける。 ところが、日本の専門家から「使用されている写真のなかの、およそ90%がでっち上げ写真だ」とする明確な証拠を突きつけられるとアイリスはすごすごと退散。 日本語版翻訳は見送りになり、彼女の来日予定も突如中止。 ディベートを期待していた多くの日本人を失望させた。 そうした曰くつきのアイリスが新著を出したが、なんと全米最大部数の週刊誌『TIME』(8月11日号)が、カラー写真を駆使し、大きなスペースを割いて書評しているのだ。「アイリスの文章は歴史的証拠の裏付けを欠く」と、タイムの書評欄ではスーザン・ジェイケスから鋭角的な指摘をされている。 彼女の新著の題名は『アメリカにおける中国人』で、要するに中国人移民の迫害された歴史を物語風につづったもの。 今度はアメリカの白人に「いじめっ子」の印象を固定化し、いわばWASP主流に挑んだ形でもある。 中国系アメリカ人は苦力(クーリー)として“ゴールドラッシュ”に湧く米国へ大量にやってきた。 最初の中国人女性はニューヨーク博覧会で見せ物になった。 中国人は教育を受けてもクリーニング屋になるしかなかった。「だから、個人的体験もあるが、義務感として書かなければならない本だと信じる」とアイリスは情緒的な物言いをしている。 ところが、前作のごとく科学的証拠はなく主観だけの宣伝文章の羅列をみれば、歴史書としての価値が低いことは一目瞭然である。 チャンの中国史における歴史記述は愛国ナショナリズムを獅子吼する大陸中国のそれと同じである。 タイムの結論はこうだ。「チベット・ウイグル・モンゴルに関しては五千年前から中国の領土だという浅薄な中華思想、あるいはロマン主義に陥っている。 過去の歴史を矯正し改訂するというけれど、その目的は本書にこそ必要だ」。 『TIME』がこれほどの酷評を展開した理由は、なんらかの商業的あるいは政治的理由で偽知識人の新刊本を紙面に大きく取り上げざるをえないにしても、そこには明らかな心理的抵抗と幾ばくかの良心があったからだろう」。

このように自分の書いた本が米大手マスメディアから「事実誤認である」と非難され、歴史研究家としての信頼を失ったアイリス・チャンは翌2004年11月9日、米カリフォルニア州サンタクララ郡の道路脇に止まっていた車の中で死亡しているのが発見された。 銃で頭を撃っており、自殺と見られている。 享年36歳だった。 AP通信によると、彼女は神経衰弱で入院するなど、鬱の傾向が見られたという。

── 推薦図書 ──
『リベラルたちの背信 アメリカを誤らせた民主党の60年』 アン・コールター著 (草思社)
日系人を収容所に送り、スターリンの暴虐に目をつぶり、北朝鮮に色目をつかい、中国や北朝鮮の人権弾圧の実態は全て隠蔽し、中国との外交関係を強化するのが、クリントン政権が受け継いだアメリカ民主党の悪しき「人権外交」の実態である。 アメリカの保守本流を代表する論客アン・コールター女史がソ連の秘密電報をはじめとする新資料を縦横に駆使して、冷戦前夜から60年の歴史を再検証し、トルーマンからクリントンにいたる歴代民主党政権の政治判断・外交政策の誤りを厳しく断罪した本書は熱い政治的論議を呼び、ベストセラーとなった。

余談になるが、数年前、私はタイにいる知人を訪ねて何回か東南アジアを旅行したのだが、バンコク国際空港の書店に立ち寄った際、目立つように『ザ・レイプ・オブ・南京』が置いてあったので、驚いてしまった。 その後、タイ国内で書店巡りをしたが、人通りの多い繁華街にあった10店中7店に『ザ・レイプ・オブ・南京』が置いてあった。 たまたま立ち寄った大型デパート内の書店にも『ザ・レイプ・オブ・南京』が置いてあった。 タイは親日国家で、素敵な王室があり料理もおいしいので大好きな国の一つであるが、最近は韓国系や中国系が増加していると聞いている。 タイ国民が『ザ・レイプ・オブ・南京』の内容を鵜呑みにして、反日思想に染まらないことを願うばかりである。 アメリカのみならず世界中にアイリス・チャンの捏造本がどんどん広まっている現在、日本は何か手を打たないと、将来取り返しのつかない禍根を残す恐れがある。